10月28日(月)に大阪公立大学中百舌鳥キャンパスにて、「堺ものづくり最前線!〜ものづくり×まちづくり、共創のカタチ〜」を開催しました。
貿易都市・商業都市として栄えた堺は、日本第一の文化・先進都市を誇り、「ものの始まりはなんでも堺」というのが堺の人たちの自慢であり、魅力のひとつです。
本イベントでは、そんな堺の“ものづくり×まちづくり、共創”にスポットを当て、また、2025年4月に大阪公立大学中百舌鳥キャンパス内にできるオープンノベーションスペースの開所に先駆けたイベントを開催しました。
第1部は、「共創でものづくり力の向上と、地域の発展を目指すには?」をテーマに、地域の発展を願い、地域共創型まちづくりのプロジェクトに注力する南海電気鉄道株式会社様と、オープンファクトリーのお取り組みでご一緒するものづくり企業の常磐精工株式会社様をお迎えして、現役でものづくりを行う大阪公立大学の学生、全国のコワーキングスペースで「ものづくり×まちづくり、共創」を生み続けているATOMicaでの講演、第2部は「オープンイノベーションスペースで“共創”を生むためには?」をテーマにグループワークと発表を行いました。
当日は、大阪公立大学の学生はじめとする関西を中心とした学生58名が中百舌鳥キャンパス内の会場に集結しました。
冒頭、大阪公立大学 産学官民共創推進室 課長 若木理恵によりご挨拶として、来春中百舌鳥キャンパス内にオープン予定の「イノベーションアカデミー共創研究拠点(スマートエネルギー棟)」について紹介をしました。
◼︎イノベーションアカデミー共創拠点についてはこちら
ここは中百舌鳥キャンパスの白鷺門近くに、産学官民リビングラボとして共創の場となる施設です。
若木氏は「本学が持つ総合知を核に、学内・学外の人が自由に交流し、共創を生み出していく拠点になります」と説明。
今後、企業との共創研究や自治体との連携、スタートアップ創出を推進する産学官民リビングラボ施設として、中百舌鳥キャンパスで様々な人たちを結ぶ、共創の場となっていきます。
その後、今回のイベントのテーマである、「堺ものづくり最前線!〜ものづくり×まちづくり、共創のカタチ〜」の第1部講演がスタート。
まずはじめに、南海電気鉄道株式会社 まちづくりグループまち共創本部共創事業部 課長 駒田 尚紀氏より、『南海電鉄の地域との共創について』をテーマに、南海電鉄様の「地域共創方まちづくり」における、ものづくり企業との取り組み、についてお話しいただきました。
南海電鉄様では、沿線で働く人口の増加を目指し、沿線の企業の魅力を向上させ、発信するプロジェクト「沿線企業魅力共創プロジェクト #BIZ TAG NANKAI」を立ち上げ、自治体、地域と連携し、沿線企業のイノベーションに取り組んでいます。
その活動を中心に、堺をはじめとする南海沿線企業が合同で働く現場を公開する、オープンファクトリーの事例も紹介。
最後に駒田氏より、「学生のみなさんには、ぜひとも『実はひとりでできることはそんなにない』ことを知っていただき、これからの出会い・繋がり・共創の精神を大切にしていただきたいです」と、伝えました。
続いて、常磐精工株式会社 代表取締役 喜井 翔太郎氏による講演です。
喜井代表は大阪公立大学の卒業生でもあり、堺で活躍するものづくり経営者です。
講演は、常磐精工社のミッションである「MAKE THE BEST. 常に今、最高だと誇れるものを作ろう」をテーマに南海電鉄様との取り組み、家業ではじめる新規事業アイデアを競う3日間耐久レース「アトツギソン」の紹介から、共創の必要性について話しました。
喜井氏は「これからの現代、求められる価値も当然のように変わってきます。そんなこれからの時代、中小企業が生きる道は、社外の力を自社に活用する、“共創”が必要です」と、学生に投げかけ、他の企業との商品開発における共創や、地域や大学との共創についても紹介しました。
続いて、大阪公立大学 農学研究科 緑地環境科学専攻 生物環境調節学研究グループ 佐久間 哲氏が「都市の新しい食料循環システム〜生ごみエネルギーと食料に〜」をテーマに、自身の研究内容と大学での共創の魅力について話しました。
現在、スマート農業の一環である循環型農業の研究を行う佐久間氏は、生ごみを循環させ、それをエネルギーに変えていくシステムを開発し、環境問題やまちづくりに役立てていくだけでなく、そのエネルギーを宇宙に持っていく、宇宙農業の分野での起業を目指しています。
それには自治体、地域、企業との共創が必要となり、「大学での共創は、挑戦する人が報われる場所であって欲しい」と強く想いを語りました。
最後は、ATOMica代表取締役Co-CEO 南原一輝による講演です。
ATOMicaが運営をサポートする他の地域のコワーキングスペースで生まれたものづくり、共創の事例を紹介しました。
販売サービスを行う企業とものづくり起業がタッグを組み、クラウドファンディングを実施した長野県松本市での事例や、埼玉県のものつくり大学内のものづくりをベースとした拠点の紹介、さらに堺市のインキュベーション施設S-Cube内にある「Community room cha-shitsu」での大阪公立大学の教授と学生との起業について、などを紹介。
様々な地域で共創が生まれ、それが地域全体の活性につながっていくことの大切さを伝えました。
その後のディスカッションでは、ATOMicaの南原がファシリテーターを務め、「共創の生まれ方、きっかけ」はどんなことだったか、また「大学で生まれやすい共創とは?」について話し合いを行いました。
第1部の講演後、第2部では来春オープン予定の「イノベーションスアカデミー共創研究拠点(スマートエネルギー棟)」について、ここにどんなものがあり、ここでどんなことをしたら、企業と学生が集まり、賑わい、共創が生まれる場となるか、各テーブルのグループごとにテーマを決め、そのテーマに沿った具体案を考え発表しました。
約25分間、各グループではみんなでテーマと施策を考え、学生がそれぞれ意見を述べました。
みなさんの表情は、真剣そのもの。
ワーク後、企業と学生がこの施設に集まるための施策とそこから共創が生まれるための施策をグループごとに発表。
発表後の総評では、大阪公立大学 産学官民共創推進室 小野雅行氏より「この施設がオープンしたら、ぜひ必ず一度訪れてみてください。今日は想像の世界でワークをしていただきましたが、実際にその場を見ると、また違ったインスピレーションが出てくることも考えられるので、その時に出たアイデアをまた教えてください。そして、まわりの人にもこの共創施設を紹介してもらい、学内で広めていきたいと思います。みなさんはこの施設で共創を生み出す主役の一人でもあるので、一緒に盛り上げていきたいと思います」と、コメントし、2時間のイベントを締めました。