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学生人事として採用広報に挑戦!地域活性化と採用活動の革新(株式会社マルイチ)
2022年3月から6月の4ヶ月間、ATOMica宮崎にて、株式会社マルイチ様とともに、「COYAGE INTERNSHIP」を実施しました。
◾️株式会社マルイチについて
株式会社マルイチは、宮崎県日向市に本社を構える地域密着型のスーパーマーケット企業。創業70年の歴史を持ち、地域の皆様の食生活を支え続けてきました。「食」を通じて地域を元気にすることを目指し、オーガニック野菜の生産や販売といった新たな取り組みにも積極的に挑戦されています。
公式サイト:https://supermaruichi.com/
◾️事例概要
本プロジェクトのテーマは、「採用広報」です。 参加した8名の学生が「学生人事」として、マルイチの魅力を深く理解し、その魅力を伝える広報物を制作。さらに、それらを活用した学生目線の就職説明会を実施しました。 4ヶ月間の活動期間を通じて、学生たちは実践的なスキルを身に付けるとともに、学生ならではの目線で、地域企業との連携による価値創出に取り組みました。
◾️活動スケジュール
プロジェクトは、以下の6つのステップで進行しました。
- キックオフ(3月)
- 事前調査・ブレスト(3〜4月)
- 農業およびファーマーズマーケット体験(4月)
- 採用広報物の制作(4〜5月)
- 就職説明会の企画および実施(5〜6月)
- DEMODAY(成果発表会)(6月)
◾️プロジェクト詳細
1. キックオフ
プロジェクトの開始にあたり、マルイチ様と学生たちがお互いに自己紹介を行い、それぞれの意気込みを共有しました。
▼キックオフの様子
2. 事前調査・ブレスト
そして次に、目標達成に向けた、「事前調査とブレスト」です。オンラインブレインストーミングツール「hidane」や思考のフレームワーク「マインドマップ」を活用しながら、以下の3つのステップに基づき、積極的に意見を出し合っていきました。
①学生同士で理想的な就職先のイメージを洗い出す
②マルイチ様の取り組みを調査する
③理想の就職先とマルイチ様を結び付ける
▼お互いに理想的な就職先についての意見を出し合い、キーワードを可視化
▼マインドマップでのアイデア発散
議論の結果、学生たちが就職先に最も求めているのは、給料でも休みでもなく『人間関係』という結果となり、これにはマルイチのご担当者様も驚きを見せていました。企業と学生による視点の違いが可視化されたと言えるでしょう。 そして学生たちは、最終的に、マルイチが採用広報を行う上で訴求するべきキーポイントとして、以下の5つを抽出しました。
- 人間関係
- スキルアップ
- 勤務地
- 給与
- 福利厚生
3. 農業およびファーマーズマーケット体験
次に学生たちは、より深くマルイチの事業や価値観を学ぶため、農家での農業体験やファーマーズマーケット体験を行いました。これらを通して、自らの手で「現場を知る」ことで、採用広報にあたって必要な理解を深めていったのです。
詳細は、参加学生本人によるnote記事を、あわせてご覧ください。https://note.com/atsuya0527/n/ncaed4bce750a
4. 採用広報物の制作
上記のプロセスにより、「学生が就職先に求めることへの考察」と、「マルイチの事業や価値観への理解」を深めた学生たちは、採用広報物として「パンフレット」と「動画」を制作することにしました。
▼広報物の検討の様子
▼パンフレット・動画の構成案
学生たちは、どのような訴求内容をどのように表現すれば伝わるのか、真剣な面持ちで何度も議論を重ね、制作を進めていきました。そしてついに、こだわりが詰まったパンフレットと動画が完成しました。
▼完成したパンフレット
パンフレットに込められたこだわりの一つが、表紙の見出しやマルイチ様の理念を「手書き」にしたこと。人間味が伝わることで、マルイチが学生から親近感を持ってもらいやすいようにしたい、という狙いがありました。
また、パンフレットの中身を「あえて空白」にしたことも、こだわりのポイントでした。手に取る人それぞれが、イベント参加などを通じてマルイチについて知った情報を自ら書き込んでいくことで、オリジナルのパンフレットが完成するよう設計したのです。そのプロセスを通じて、マルイチへの理解を深めていってほしいという想いが込められていました。
また、もう一つのこだわりとして、「不安解消コーナー」として、社員の方々にインタビューを行い、若手社員の平均残業時間や有給取得率などマルイチのリアルな情報を掲載しました。学生目線に立ち、就活生が本心から気にしている情報を包み隠さず掲載することが、マルイチへの信頼につながるはずだという想いが反映されていました。
▼完成した動画のイメージ
広報動画に込めたこだわりは、「ニュース形式」で構成したことでした。学生たちがアナウンサーとなり、ニュースをオマージュしてマルイチについて紹介していくことで、視聴者が飽きない設計を目指したのです。
また、伝える内容についても、ひとつひとつ工夫を凝らしました。例えば、「実際に働いている社員の生の声を聞きたい」という意見を基に、「新入社員への密着インタビュー」や「レポーターとしてスーパーの現場に密着し、質問するコーナー」などを設けました。
さらに、ニュース形式の動画であることを踏まえて、擬似的な「CM」まで制作する徹底ぶり。マルイチがITを積極導入していることなど、学生がスーパーに対して抱くイメージが変わるようなファクトを、視聴者が楽しめる方法で訴求しました。
5. 就職説明会の企画および実施
これらの制作と並行して、就職説明会の企画も進行していきました。イベントタイトルは、『学生の学生による学生のための就職説明会』。メンバーで何度も話し合いながら、参加して良かったと思っていただけるようなイベント内容を検討していきました。
ここで、学生たちに大きな壁が立ちはだかります。それは、「集客」です。イベント開催日までわずか2週間という短い期間で、参加者を募らなければならない状況になっていました。
しかし学生たちは諦めずに知恵を振り絞り、SNSや大学内ポータルサイトなども活用しながら、最終的にはなんと2,246名に声をかけていきました。そんな血の滲むような努力により、オンラインとオフラインのハイブリッド形式で行われたイベント本番には、20名の学生が参加してくださり、大盛況で終幕を迎えました。
イベント当日、緊張した面持ちだったメンバーでしたが、自分たちが懸命に考えたプログラムが進むにつれ積極的に会場を盛り上げていく様子が印象的で、プロジェクト開始時と比べて頼もしく成長した姿が見られました。
大成功に終わった就職説明会。終了後の参加者アンケートでも、「学生目線の企画だったのでとても楽しめた」「スーパーに対するイメージが変わった」「マルイチの魅力が伝わった」など、嬉しい言葉を数多くいただくことができました。
6. DEMODAY(成果発表会)
プロジェクトの最後には、締めくくりとして、さまざまな企業関係者を招いたDEMODAY(成果発表会)を実施しました。多くの企業様が参加し、緊張した様子の学生たちでしたが、本番ではリハーサル以上の完成度でプレゼンテーションを披露。堂々と、情熱を注いだ活動の成果を発表しました。
プロジェクトを終えて
4ヶ月間を通して、学生たちは主体的に活動し、時には意見の違いによる衝突などの課題に直面しながらも、協力して乗り越えることで大きな成長を遂げました。また、マルイチ様にとっても、新しい採用の在り方や地域と連携する意義について新たな発見が得られる機会となりました。プロジェクトに参加された学生の皆様、そしてマルイチ様、ありがとうございました。